川合さん

流山GREAT HAWKSが生み出す、「父になるなら、流山市。」①

 ラグビーを楽しむ子どもたちの声が、校庭におおきく響く。
 この景色をつくるため、川合さんは流山では初となる幼児から小学生を対象としたラグビークラブを設立した。

走る子どもたち1

 川合毅さんは、4 年前流山に転入した、都内の企業に勤める2 児の父。小学 2 年生からラグビーをはじめ、日本ラグビーの最高峰ラグビートップリーグ(現ラグビーリーグワン)の主将まで昇りつめたトップアスリートのひとりだ。現在は、流山初のラグビーチーム「流山ラグビークラブGREAT HAWKS」を発足し、同時に流山市ラグビーフットボール協会の会長も務めている。

多様性を受け入れ、活かす

 川合さんは、ラグビーというスポーツが持つチカラはもとより、ラグビー型社会の構築が地域の明るい未来につながると信じている。
 「ラグビーは、多様性をベースに人を育てるスポーツです。身体が大きい・小さいなどの身体性、アイデアに長けている・何も考えず突っ込んでいくなど性格も含めた、それぞれが持つ個性を存分に活かすことで、チーム力に変えていきます。個性が異なるメンバーが目的に向かって個々の役割を果たすことで、想像を超えた化学反応が生み出せる。それこそが、ラグビーのおおきな醍醐味と言えます。

頭に手を乗せる子ども


 ダイバーシティという言葉ができる前から、ラグビーの世界では、多様性を受け入れ活かすことで組織・人格形成などを行ってきた歴史があります。だからこそ、小さな頃からラグビーに触れられる環境づくりは、ラグビーというスポーツとしての普及だけでなく地域社会にとっても重要なファクターとなり得ると、現役時代から確信していました。」

夢のはじまり

 緑豊かで子どもが多い流山への転入は、長年思い続けてきた夢を実現できるチャンスと思い立った川合さんは、子ども向けのラグビー教室と同時にラグビー協会の立ち上げを進めた。プレイヤーを引退してもつながりが強いラグビー人脈は、川合さんの夢の実現に向け大きく寄与し、コーチの資格を持つ多くの元トップアスリートたちが、川合さんの想いをボランティアで支えている。

お母さんコーチと

 「『流山ラグビークラブGREAT HAWKS』は 2020 年 7 月に設立しました。2021 年11 月現在、会員数は 125 人、うち約 50 名が女子です。クラブの方針は『まず子どもたちが楽しみ、そして関わる全員が楽しむこと』。お父さん、お母さんにもお子さんと一緒にラグビーに触れ合ってもらう。クラブの運営にも、ラグビー経験関係なくいろんなアイデア・経験を持つ流山の方々の能力を結集する。多様性を受け入れ活かすラグビー精神に基づくコミュニティづくり・組織運営を自ら体現することが、将来性ある発展につながると考えています。」
 現在約 30 人いるコーチの大半は、ラグビー未経験の保護者たち。今までラグビーをやったことがないお父さん、お母さんたちが子どもたちの練習プログラムづくりにも積極的に参加し、「より楽しく」ラグビーに触れ合える環境をみんなでつくりだしている。

「楽しい」を徹底的にロジカルに考える

 「プレイ時の激しさもラグビーの魅力のひとつですが、子どもたちに楽しむ前から怖い印象を持たせてしまっては、興味から遠ざかってしまいます。本気で普及を考えるなら、提供する側がどのようにラグビーの楽しさを伝えるかを徹底的に考える必要があります。流山GREAT HAWKSのプログラムは『楽しい』を最優先しています。伝える楽しさを年少クラス以下・年中年長クラス・小学 1 年生・小学 2 年生と年代別に分け明確化し、クラブ全体で共有しています。」

楽しさ図
Green:小学2年生以上 Yellow:小学1年生 
Blue:年中・年長クラス Red:年少クラス以下

 川合さんは練習中、子供たちへの多少のサポートはあれ、練習自体に関与することはなく、ただやさしくみんなを見つめている。コーチングはほぼラグビー未経験の保護者たちの自主性に任せている。トップダウン的手法ではない『楽しい』をチーム全体で創出し街中に拡大していく、クラブの使命と未来をしっかり見つめている。

説明するコーチ

 「プレイヤーを引退してからもさまざま貴重なビジネス経験を積ませていただきましたが、ラグビーほどのめり込めるものはなく、ひとときもラグビーが頭から離れませんでした。現代社会におけるラグビー精神とその経験の必要性を感じながらも、活かせる方法を模索していました。
 いま流山で、ラグビーの未来や新しいコミュニティの創出にかかわる新しい挑戦の機会を得たことで、また心身ともに充実した時間を過ごせています。そんな私の姿を見て、妻をはじめ家族はとても喜び、応援もしてくれています。
 まだクラブは立ち上がったばかりで、ラグビーの普及のために進めるべきことはまだまだたくさんありますが、まずは幼少時にラグビーに触れ合える、流山でのこの場をクラブとして充実させていきたいと考えています。いまラグビーを楽しんでくれている子どもたちが大きくなってたとえ流山を離れても、思い出がいっぱいつまっているふるさとのような、流山を振り返れるクラブになれるよう努めていきます。」

     (②につづく)

流山GREAT HAWKS   https://www.nagareyama-rugby.com/

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