さちこ先生と子供たち

公園とつくりだす、子どもたちのチカラと個性 さちこ先生の場合②

前回①から続く

 2021年4月から流山に住んでいるさちこ先生は、流山おおたかの森駅にほど近い保育園に勤務する保育士さん。さちこ先生が勤務する園には、園庭がありません。
 さちこ先生たち保育士さんは、近隣の公園を有効利用し、子どもたちが主体的に自然と触れあう機会をつくることで、成長していく上で大切な時期の子どもたちの発育を支えているようです。
 流山市内公園の活用方法を、さちこ先生にお聞きしました。

年齢で異なる公園でのアプローチ

 「わたしたちの園では年間計画として、子どもたちが1日3キロ歩けるようにする目標があるため、公園を活用した遊びを重要視しています。遊具が無い公園環境で子どもたち自身が遊びをつくっていくよう促すことで、子どもたちの自発性、道徳・規律意識、思考力を高めていけるようアプローチしています。
 公園での遊びから目指すテーマは、年齢ごとに変わります。
 まだ歩くことができない0歳児は、光や風、地面の感触をからだ全体、五感で感じるのが大切です。歩けるようになってきた1歳児には、転んでもケガをしないようなやわらかい地面を選び、自由に歩いたり、走ったり、斜面を上り下りるなど、からだのさまざまな使い方がわかるようにしていきます。
 2歳児になると、石や葉っぱ、木の実など自然物を子どもがイメージするものに見たて、つもり遊びができ、お友達と一緒に遊びを覚えることもできます。
 3歳児は、ルールを覚えてお友達と遊べるので、ルールがある鬼ごっこもできます。全力で走ったり、木登りなどで体幹を鍛え、虫探しをしながら図鑑と照らし合わせ虫のカタチを覚えたり、字や名前を覚えるようにもなります。この年頃になると自然への興味関心がでてくるので、はじめての挑戦や達成感につながる活動にもアプローチしていきます。」

流山おおたたかの森駅周辺の公園では

 「大堀川水辺公園は、水辺には魚、草むらは虫の宝庫。なだらかな傾斜でまわりが見渡しやすく、子どもたちにも人気が高い公園です。車が通らない遊歩道があるので、子どもたちは大人と手を放して自分のペースで歩くことができます。
 おおたかの森駅南口公園には適度な斜面や木々があり、体幹を育む遊びがしやすい公園です。自由に歩き回ったりするだけでなく、芝滑りや木登りなど挑戦でき、木の枝や石などを使ったごっこ遊びにも展開できます。

 おおたかの森東1号公園は、保育者の目が届く適度な広さで、住宅に囲まれているので、子どもにとっても保育者にとっても安心感ある公園です。0~1歳児にとっては自由に歩いたり、走
ったり、傾斜に挑戦したりできる最適な公園です。
 小鳥の森や小畔の森では、木の階段や湿地帯を歩くことで、道に気を配り考えながら歩くチカラが育ち、自分で歩くペースを知ることができます。大人でも慎重になる小畔の森の長い階段や小道を、子どもたちと一緒にチャレンジすることで、達成感を共有することもできます。」

 最後にさちこ先生に、流山で保育士として勤務している現在の心境について尋ねてみました。
「厚生労働省が制定している保育所保育指針では、子どもたちに『育みたい資質・能力』として、『知識及び技能の基礎』『思考力、判断力、表現力等の基礎』『学びに向かう姿勢、人間性等』の3つを柱とし、幼児教育を行うことを明文化しています。
 自然のものしか何もない公園環境で子どもたち自身が遊びをつくれるよう促していくことが、子どもたちの自発性、道徳・規律意識の芽生え、思考力の向上につながっていると、日々わたしたちは実感しています。

 そんな「生きた保育」ができる環境にいまいること、毎日子どもたちと一緒に成長できることに、最も喜びと楽しさを感じています。子どもたちの可能性を無限に広げることが出来る立場には大きな責任も伴いますが、そこには大きな喜びもあります。大人になってしまった自分には気づくことができない、子どもたちそれぞれの視点に驚きと発見を感じる毎日を、わたしはとても楽しく愛おしく感じています。」

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