保育園の友人家族と立ち上げた松ヶ丘子ども食堂。代表の佐々木さんの活動は、子どもの居場所づくりに留まりません。なぜ、働きながら地域活動に参画されるのか、お話を聞きました。
“子どもが子どもらしくいられる”場所として
子ども食堂は、経済的に困窮する方が対象というイメージもあるかもしれませんが、困窮というのは時間的余裕がないなど、経済面だけではないようです。松ヶ丘子ども食堂は、自治会館で月1回の開催、コロナ渦では食事の提供ができずにいましたが、状況を見ながら始めていきたいとのこと。
自治会館では珍しく、体育室があること、地域のパパたちがメンバーにいることもあり、食堂だけでなく体を動かせるのが他と少し違うかもしれません。2家族でスタートしましたが、現在のスタッフは20人ほどで、幼稚園や学校の先生、デザイナー、大学生、主婦、介護職など多様です。子ども食堂に興味がある、地域活動をやってみたかったなど、理由もいろいろですが、みな手を挙げて自らかかわってくれています。来られるときに、というスタンスで、スタッフにも無理に来てもらうことはしませんが、例えば調理スタッフは献立を積極的に考えてくれたり、やれることを自分たちでやってくれます。
松ヶ丘子ども食堂は、子どもが子どもらしくいられる場所を目指しているので、基本的に子どもの好きなように過ごします。その中で、子ども同士ではどんな会話をしているのかなど、子どもの世界を垣間見られたり、我が子の成長を感じられたりと、大人が勉強になることも多いそうです。
スタッフも働きながらの人が多いので、宣伝して大きくするよりもじっくりと取り組んでいくつもりです。
はじまりは人とのつながりから
佐々木さんは、平日は仕事があります。子ども食堂代表のほかに、流山市消防団の分団長もつとめています。もともと、職場の先輩が消防団に入っていたことから参加しました。練習が大変なときもありますが、(コロナ前は)一緒に旅行に出かけたり遊びに行ったり、みなが仲良しで楽しいつながりです。
子ども食堂は、フードバンクをやっている消防団の先輩から「流山の東部エリアにまだ子ども食堂がない。」と聞いたのがきっかけ。奥様が南流山子ども食堂に行ったこともあり、その時にお手伝いすることに興味を持っていたため、じゃあやってみようかとなりました。
佐々木さんは、大学時代に国際交流のボランティアをした経験もあります。お父様が地域活動をしていたのを幼いころから見ていたこともあり、人とのつながりから自然と活動に入っているのかもしれません。「振り返れば、結果的に今やっていることが地域活動というのかなという感覚です。」とのこと。
ちょっと寄れるコミュニティをつくりたい
流山の東部エリアは駅から近いわりに閑静な住宅街が広がり、街並みもきれい、ご近所も良い人が多くて、暮らすには最適な環境だと感じています。古くから住んでいる方、転入してきたファミリー層もいます。子ども食堂をきっかけに、地域には様々なスキルや特技を持っている方がいることがわかりました。自分たちの子どもにとってはここがふるさと、これまで地域を支え、環境をつくってくださった方々から引き継いで、子どもたちに渡していきたいと思っています。
佐々木さんの本業から、流山の農業や農産物をもっと知ってもらいたいという思いもあるので、流山野菜と他の地域活動とをコラボする企画もしています。すでに、流山駅となりのコミュニティスペースmachiminで流山野菜を紹介、販売したこともあります。今後は、休日の午前中に近所の屋外でふらっと立ち寄ってコーヒーを飲んだりできる場所をつくってみたいとのことです。
本業のほかに、こんなにいろいろと活動されて大変ではないですか?とお聞きしたところ、「すべて楽しんでやれているので、大変と思うことはありません。」と穏やかに話してくれました。