みどりと人とまちをつなぐ 『Social Green Projects in NAGAREYAMA』

 2021年11月、『Social Green Projects in NAGAREYAMA』は、第16回マニフェスト大賞優秀政策提言賞を受賞しました。『Social Green Projects in NAGAREYAMA』 は、流山の身近なみどりを楽しみながら守ろうとする活動です。

 『まちのみどりを味わい楽しみながら、みどりがあることの価値を体感することで、所有者だけでなくそのみどりに関わる全ての人が対価を払ってでも、自発的にそのみどりを大切にしたくなる』

 そんなきっかけづくりから、みどりを守るための視察会・政策提言・実践までのさまざまな活動を行っています。

みどりと田園

斜面緑地の稜線に惹かれ

 プロジェクト発起人の伊藤奈未さんは、幼少期からみどりとまちが共生する郊外で育ち、転校や引っ越しをくりかえす環境のなかで、いつまでも変わることのない風景やまちの個性への興味から、まちづくりを学ぶようになりました。

なみさん画像

 「学生時代は普段から、土地の凸凹(微地形)を感じるために自転車で走り廻るようなマニアックなこともしていました。長期の休みになると国内外の都市や農村を訪れ、その土地のいまある姿を体感することや、自分が住むところがこうだったらいいなと未来を想像してみたり、身の回りで自分なりに実験してみることが好きでした。 ウィーンに留学した時には、文化とみどりが共存している都市環境や、パブリックスペースとか広場の上手な活用を身をもって実感しました。帰国した後、パブリックスペースで人の心を豊かにする都市計画やランドスケープの仕事がしたいと思って、組織設計事務所に就職しました。
 流山は、都心へのアクセスが良い一方で、当たり前のように自然が残っていることに驚き、特に、流山芝崎の斜面緑地の稜線が描く美しさには心奪われました。新しくコミュニティをつくれる可能性も感じて、2018年流山に転入しました。」

プロジェクト始動

 「コロナ禍で外出ができないなか、流山の土地利用計画図を横目に見ながら散歩をしたところ、知らなかった流山の魅力を発見すると同時に、変わっていく景色が想像されました。みどりが開発によってなくなるのはさびしいとの想いを払拭するためにも、いま目の前にあるみどりを楽しみながら、批判ではなく前向きにやれることはないか、と考え、2020年7月今後変わっていく可能性のあるみどり豊かな環境に対して何ができるのかを検討する『みどりの作戦会議』というオンラインイベントを開催しました。
 流山らしいみどりとは、資産価値が下がらない流山を維持するためには、の問いかけをしたところ、参加者から、自分たちにできることは何か?想いだけでなく現実的には人とお金も必要なのでは?楽しくないと続けられない!などの貴重な意見を得ることができました。」

チェアリング

 一緒に活動する仲間に出会った奈未さんは、『みどりのさんぽマスター』『マイモリデザイン会議』など、流山のみどりを体感し楽しめるプロジェクトを次々と立ち上げていきます。
 「最初は、散歩でのちょっとした発見や喜びをシェアしあう『みどりのさんぽマスター』というコミュニティを立ち上げ、気軽に流山のみどりを感じられる小規模ツアーを不定期開催することにしました。参加者からは『流山にこんなみどりいっぱいな場所があるなんて』『また行ってみたい』などのうれしい感想が寄せられ、徐々に参加者も増えています。

 また、『マイモリデザイン会議』では、自分ごとに感じられるような(マイ)森(モリ)をつくることを目的として、まずは、森でみどりを感じながらチェアリングするための椅子『マイチェア』をつくるワークショップや、森を守る仲間を増やすイベント、公園をもっと自由に楽しむコラボ企画『NYCPパークヨガ+α』なども始めています。
 さんぽをする一住民目線で『楽しいから守りたい!』と『守ったから楽しめる!』といった気持ちや体験の循環を大切に活動をしています。」

パークヨガ

「森のまち」であるために

 今回、マニフェスト大賞の受賞対象となった 『Social Green Projects in NAGAREYAMA』 の提言は、現在流山市で施行中の運動公園周辺地区区画整理での「斜面緑地のみどりがかたちづくる風景の消失」について。

 貴重な大木や残すべきみどりをピックアップした上で、点・線・面的に残す手法を市に提案したことが高い評価を得ています。同時に、森を楽しみ、慈しみ、守るマイモリ文化を根付かせることで、『都心から一番近い森のまち』が名実ともに『森のまち』であるための活動も、『みどりをパブリック化し、それを愛する人々によって守り育てていく思考の転換を目指す』点で評価されています。

みんなでポーズ

 「知りたいと思ったら、足を運ぶ。会いたいと思ったら、会いに行く。フィールドワークを大事にしながら、既成概念にとらわれず、自分が楽しみ、自分のやりたいことで地域貢献をしていきたいと考えています。そして、やるなら多くの人の共感を生むためにもかっこ良く、も心がけています。
  活動を続けていくことで、『Social Green Projects in NAGAREYAMA』 が、みどりと人とまちをつなぐ役になれればと思っています。」

Social Green Projects in NAGAREYAMA   https://www.facebook.com/myMORIdesign/

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