みかりさん

すべては「背中を押してもらった」ことから 江戸川台への想いをつなぐ、マルチな地域活動

 「60歳になる前に、節目として何か始めたいって思い続けてきました。いろいろと思いを巡らせているうちに、昔から子どもが好き、やっぱり地域に根差すものじゃないと、とかやりたい方向が整理されてきました。やってみないとわからないから、ダメ元でもやってみようと思い、子ども食堂を立ち上げることにしました。」

子ども食堂配布1

  加藤美佳里さんは 2019 年 6 月、『みんなの江戸川台キッチン』と名付けた子ども食堂を設立した。その名称には、子どももお年寄りもだれでもみんなが気軽に集える場所に、同じ釜の温かいご飯をおなか一杯楽しく食べながらみんなで話せるコミュニティの場になるように、との思いが込められている。

ハロウィンお菓子

 『みんなの江戸川台キッチン』スタッフの年齢層は幅広く、2021 年 11 月現在、小学 1 年生から 80 歳代までの計 43 人。「できることを、できるときに、できるひとがやる」をモットーに、美佳里さんの想いに共感するボランティアスタッフたちとともに活動を進めている。

背中を押してくれたこと

 「1994 年子どもたちと初石公民館で『人形劇団ふうせん』の公演を初めて見たとき、わたしもやってみたい、と強烈に思いました。そう思ったものの、人形劇の経験はないし、子どもは小さいし、などなど劇団のメンバーへ声をかけていいものか躊躇していました。入り口でもじもじしているわたしを見かけ声掛けをしてくれた児童センターの先生が、ポン!と背中を押してくれたことで、劇団に参加する勇気をもらえました。
 いまもそのときのことが強く印象に残っているのは、背中を押してもらったそのさりげないサポートが、わたしの暮らしに楽しみとやりがいを加えてくれたからです。
 参加した『ふうせん』のメンバーは幅広い年代で構成されていました。べたべたした関係ではない、目的のために集まっているその関係性が、わたしにはとても居心地良く感じました。その心地よい関係性はいまでも変わることなく、活動を続けています。」

配るお母さんたち

 「今回『みんなの江戸川台キッチン』を自分で立ち上げる際にも、『ふうせん』のメンバーのようなお互い自律した、異年齢の方々との関わりを大事する目的型の関係性なら、やりたいし、やり続けられるはずと考えていました。
 いま、『みんなの江戸川台キッチン』では、『ふうせん』のように無理なくできる範囲のチカラをみんなで出し合える関係性と活動を目指し運営を進めています。
 毎月、子どもたちが元気になればとそっと寄付してくださる方、地元のみなさんに役に立てばと気にかけてくださる方々、突然の依頼にもこころよく大量のお弁当を作ってくださる飲食店さん、イベントのお願いにも対応してくださる商店街のみなさんなど、地域の方々のおおきな支えをいただきながら活動しています。

  キッチンを支えるボランティアスタッフが、立ち上げから現在までだれひとり辞めることなく続けてくれていることも、本当にうれしく、活動のやりがいにもつながっています。」

そして、背中を押す

  美佳里さんは『みんなの江戸川台キッチン』の運営だけでなく、流山市内の『人形劇団ふうせん』にも所属し、民生委員・児童委員、学校支援コーディネーターなど、複数の地域活動を活発的に行っている。美佳里さんのスケジュールはパズルのように予定が組み込まれる多忙な毎日だが、活動のなかで関わる人々からの「ありがとう」の言葉が、美佳里さんを支える活動の源泉だ。

子ども食堂のひととき

 「民生委員・児童委員は1期目、始めて 2 年目です。やらないかと声をかけられた時には悩みました。でも、自分の子育てや母の介護をしていた時に、地域の方々がただ話を聞き相談に乗ってくれたことがわたしを救ってくれました。すこしでも地元のお役に立てればと思い委員をやることに決め、いまは流山市江戸川台エリアの高齢の方々20人くらいの見守り活動などをしています。各高齢者のお宅には毎月訪問しますが、見守りの方から連絡をもらうこともあります。新たな地域でのつながりや発見がある日々を過ごさせてもらっています。
 支援コーディネーターでは、まち探検やねぎ農家の見学、朝学習、ミシンサポート、落ち葉掃きなど、子どもたち・地域・学校をつなぐ活動をしています。」

このまちは、まだまだ成長できる

大行列

 流山の江戸川台で生まれ育った美佳里さんには、同世代の子どもたちが周りにたくさんいる、みんなが知り合い、みんなが友だちに思える、まちといっしょに育った原風景が、美佳里さんの心に深く刻まれている。
 「わたしは、江戸川台に育ててもらいました。地域に定着していくような活動やイベントを続けていくことで、まちに楽しさが徐々に増えていけばと考えています。このまちで育った子どもたちがここに戻り、何かやりたいと思ってくれるような環境づくりに、わたしたちの活動がつながっていければと願っています。」
 このまちは、まだまだ成長できる、と語る美佳里さんは、江戸川台というまちのポテンシャルと未来を疑うことなく信じている。

 

.

おすすめの記事