2023年に流山市民として初めての真打となる落語家、春風亭吉好さん。
吉好さんは、1990年小学4年生の頃に東京都世田谷区から転居し、大学時代に流山から現在も流山市前ヶ崎で暮らしています。向小金小学校、東部中学校、千葉県立小金高校を経て千葉大学教育学部に進んだ吉好さんは、大学の落語研究会(以下、落研)への入部をきっかけに落語にのめりこんでいきます。
「人前に出ることは嫌いじゃなかったので、中学、高校でも演劇部に入って、舞台に立ったりしたりしていました。大学に入学しても演劇をやろうかと思っていたのですが、その当時の演劇部はみんなで楽しむ陽キャの集まりなイメージがあったので自分には合わないと感じ、演劇部に入るのはやめました。
落語なら廻りに気を使うことなく、ひとりでも楽しくやれるんじゃないかと思って、落研に入ってみることにしました。
落語には、落研に入ってほぼ初めて触れました。最初はなにが面白いのかもよくわからなかったのですが、ある日古今亭志ん朝師匠のテープをたまたま聞いたことが落語にのめり込んでいくきっかけとなって。名人の落語を聞けば聞くほどその面白さと深みを感じ、どんどん落語にはまっていくようになりました。
また、落研の奇想天外な企画の数々や飲み会が面白くて、毎日のように部室に入り浸っていました。授業には行かなくなりましたが(笑)」
そして、落語の道へ
落語に溺れ、8年間大学生活を満喫した吉好さんは、落語家になることを決意します。
「師匠の春風亭柳好は、年に1,2回千葉での寄席に参加していました。その寄席での受付や出囃子とかのお手伝いや寄席後の打ち上げで面識はあり、師匠の落語と人柄に好感を持っていたこともあって、落語家になるなら師匠にお願いしたいと思っていました。
師匠を新宿末廣亭の楽屋口で出待ちして、弟子入りのお願いをしましたが、最初はきっぱりと断られました。その後も5回6回としつこくお願いし続けた結果、なんとか弟子入りの許しを得ることができました。」
しかし、落語家になることを母親に反対されていた吉好さんは、母親を説得するためなにかで母親にわかりやすい結果を見せなければ、前に進めないと思っていました。
「落語の大会で優勝したとか、わかりやすい結果を残してきたわけではなかったので、『落語家になりたい』と言っても親を説得できませんでした。
どのように説得できる結果をつくれば良いかを考えた末、大学生活8年間で培ってきた関東中のさまざまな大学落研やパフォーマーの方々との人脈という財産が自分にはあることに気づきました。」
その人脈を使って、大きな場所で落語をやる。それならできるのではと考え、吉好さんはイベントを催すことにします。イベントを重ねていくうちに100名以上のお客様が集まるイベントに育ち、見に来てくれた母親もその頑張りを認めてくれたことで、吉好さんは落語家の道を進んで行きます。
2009年6月五代目春風亭柳好に入門した吉好さんは、その年の9月には新宿末廣亭にて「たらちね」の演目で初高座、2013年8月には二つ目に昇進。順調に落語家としてのキャリアを重ねていきます。
吉好さんの十八番は「紺屋高尾」。奉公人の身分では相手にならない最高位の花魁に恋焦がれる古典落語の演目です。根っからの萌え系アニメ好きである吉好さんが、ファンがアイドルを想うように自身を重ねることができる演目とのこと。
古典落語「あくび指南」を現代バージョンとして模様替えした「ツンデレ指南」は、吉好さんが落語家になって初めてつくった新作です。YouTubeで鑑賞できるので、ぜひお楽しみください。
流山市民初の、真打になる
春風亭吉好さんは、2023年5月1日真打となる。
吉好さんにとって2022年と2023年は、これからの落語家人生がかかる最も大事な年となる。
「真打になる前年に、育った流山で落語を見ていただける機会ができたことをうれしく思っています。この寄席をきっかけに、落語の面白さを知ってもらい、今後とも流山市民初の真打となる春風亭吉好を少しでも応援していだだける機会になればと願っています。」
吉好さんは、流山市生涯学習センターの定員12名の和室でも、2022年9月で8回を数える落語会を開いている。
「流山は人口も増えて変わったと聞きますが、私が暮らす前ヶ崎周辺から最寄り駅の小金城址までの流山は昔から変わらない風景が残っています。わたし自身はそんな流山を心地よく感じていて、これからも家が壊れるまでは(笑)このまちで暮らしていきたいと思っています。
真打になってからも、流山市民初の真打になるからこそ、今後も流山とのつながりを、落語を通じて深めていければと考えています。」
2022年10月2日日曜日14時半〜流山市生涯学習センター多目的ホールにて開催される「流山落語会スペシャル」に、春風亭吉好さんが出演します。2023年に流山市民初の真打となる吉好さんの落語をぜひお楽しみください。
■予約問い合わせ
090-7278-3576 ✉yoyakuyoshikou@gmail.com