「PTA役員募集の手紙が配られて、立候補するか他薦するかを選択するよう記載があったんです。PTA会長であれば現状を変えられると思い、PTA会長に立候補することにしました。」と切り出した小山小学校PTA会長の峰松さん。会長は3年目ですが、活動を手挙げ制にするなど、PTA役員とともに改革を行ってきました。「学校も家庭の生活スタイルや働き方の変化によって変わっていかなければいけないと思う。」と松山校長も答えます。「はじめは、峰松会長のスピードに驚く人もいました。」と振り返るPTA役員・広報ボランティアの方々。
小山小学校でまわり始めた、あらたなPTA活動についてお話をお聞きしました。
変えられる余地があると思った
「PTAは任意団体ですが、なぜか“やらされ感”があって、役員・委員決めもなんとなく嫌な空気が流れることがありますよね。それを変えたかった。変えるには、会長になったほうがいいと思ったんです。」
本業で新規事業立ち上げに携わった経験を持ち、PTA会長になった峰松さん、就任1年目はコロナ禍で学校活動自体に制限がありました。そこで、近隣新設小学校のPTA準備委員会の方々と情報交換したり、教育委員会の方が準備して頂いたPTA会則案を読み込んだり、情報収集を行いました。その中で、前例踏襲だけで行われている活動を削減する等、PTAは変えられる余地がやはりあると思ったそうです。コロナ禍で、多くのPTA活動が休止していたことも、変えるタイミングとして追い風になりました。
機能を持たせたままで変えていく
まずは、児童の登下校の見守りや安全対策を考える地区委員以外の委員をなくしました。各クラスのクラス委員は、毎月の集金後の集計作業に負担感があったので、口座振替に。運動会は、保護者のボランティアで回す目途が立ちました。また、それまでのPTA活動は一家庭一協力のポイント制でしたが、やりたい人が集まる手挙げ制にしました。「保護者の多くは、義務のようにノルマをこなす形に無理を感じるのだと思います。自分のやれるときにやれることで手を挙げられるなら、と、むしろこれまでよりも参加する保護者は増えました。まんべんなく役割を割り振ると、やりたい人が再任できないという課題もありました。」と峰松会長。「モチベーションのある人が集まるので、活動がより楽しくなりました。」と広報ボランティアの方々も続いて口をそろえます。松山校長は、「PTAの機能はそのまま維持されながら、参加しやすく変わっていくのを見て安心できました。」と話します。
デジタルツールを導入
そうはいっても、変えることは抵抗感も伴います。「なぜ変えることに抵抗があるのか。その理由をロジカルに紐解いて対処していくのが大事。」と語る峰松会長に、ボランティアの方々は「会長は“鋼のメンタル”(笑)」といいます。「会長の想いが伝わりやすいように、どう伝えていくかの工夫をしました。PTAって何をしているのかよくわからないという声もある中、活動の見える化は必要ですが、保護者が一番知りたいのは学校での子どもたちの様子です。子どもたちとPTA活動をバランスよく織り交ぜて、ブログで情報発信を始めることにしました。そのブログを見て、活動に参加したいという保護者も出てきています。」とのこと。
これまでは役員や保護者との連絡をメールなどで行い、既読したのかどうか確認する作業も発生していましたが、役員の中のひとりからLINE WORKSを使ってみないかと提案がありました。同アプリをPTAで使用する事例は他にありますが、小山小学校のような大規模校での実績は初だとのこと。LINE WORKSは、人の募集が簡単にできるうえシフト表やグループ作成もできるので、役員のみなさんはスキマ時間にもスマホから見ることができて便利になりました。
②に続く